長野県南佐久郡、標高約1300メートルの八ヶ岳・野辺山高原にある株式会社ヤツレンは、地域で搾乳された生乳を原料とした乳製品の製造・販売を手掛けている。八ヶ岳高原農協連合会(通称八連)から2001年に分社化した同社は、牛乳工場から生産者の牛舎まで30分以内という環境が大きな強み。
おいしさはバイヤーからも支持され、東京都内のスーパーの棚にもヤツレンの牛乳は並んでいる。そんなヤツレンでは、オンライン販売やHPを通じた新卒採用などにも力を入れている。代表取締役専務の井出万亀司氏とHP担当者の中山勇希氏に話を聞いた。
――業容は??
井出 地域の酪農家さんたちが生産した生乳を集め、牛乳やヨーグルトなどに加工・販売しています。主力商品は、昭和50年から『シュッポッポ牛乳』や『ポッポ牛乳』という愛称で親しまれている牛乳です。また、野辺山周辺の酪農家の新鮮な生乳だけを使用した製品づくりにもこだわっています。
――地元産にこだわる理由は?
井出 産地と地域の生産者を守るためです。当社に生乳を納品しているのは
現在42軒ですが、高齢化や経営悪化などのため、全盛期よりもかなり減っています。その上、酪農業を取り巻く環境は、円安や飼料・燃料費の高騰などで厳しさを増す一方。経営的に、生産者の皆さまが苦境に立たされている今、当社ではこの数年、生産者の経営を守るために費用補填など緊急対策支援を行なっています。
――販路は?
井出 スーパーなど量販店との取引が多数を占めています。地元の大手スーパーに加えて、首都圏のスーパーとも取引があります。乳製品の製造・販売は、設備投資が大きい一方で単価はそれほど高くありません。薄利多売のビジネスなので、利益を出すためにはやはり取引量はそれなりに必要なのです。
――HP開設のきっかけは?
井出 一般の消費者の方も手に取る商品を製造・販売しているため、商品の問い合わせ窓口としてHPは欠かせないツールと考え、開設しました。現在の形にリニューアルしたのは2020年。全国に商品と産地の情報を発信するために、より分かりやすい内容に変えました。アイ・モバイルさんを紹介してくれたのは、会社設立当時からお世話になっている税理士法人ゆうきの芦澤貞久先生です。芦澤先生には、地域の酪農家さんたちの会計業務もお願いしているため、当社のことをよく理解していただいており、そんな先生の紹介なので安心感がありました。
――HP制作時の留意点は?
中山 商品の生産ストーリーや産地のことを知っていただける内容にしました。単に取扱商品を掲載するだけでなく、たとえば牛乳工場の様子や、主力商品である『シュッポッポ牛乳』の由来、八ヶ岳・野辺山高原の魅力などを紹介するページを作りました。八ヶ岳は多くの観光客が訪れます。当社の直売所も例外ではなく、生乳から作るソフトクリームは1日で1000個以上売れることも。それだけに、商品のストーリーを知っていただけるコンテンツを整備することでお客さまの利便性向上に大きな効果が期待できます。また、オンラインショップとの連携も、アイ・モバイルさんに相談しながら実現しました。
――新卒採用については?
中山 新卒採用は大手就活ポータルサイトへの掲載をメインに情報発信していますが、コロナ禍以降、応募学生との接触は、説明会よりもHP経由がほとんどになりました。毎春、300〜400人の応募がありますが、県内だけでなく県外からの応募も増えています。
――HPは企業理解にも役立っているということですか。
井出 そう感じています。コロナ禍前は、対面で説明会をした後に会社案内を実施していたので、企業理解を深め、入社後のギャップをなくす機会は今よりもあったのかもしれません。しかし、オンラインからの応募やウェブ説明会が主流になっている今、よりHPの情報が大切になってきます。読み込んでいただければ、当社の歴史や想いなどもわかる構成になっていますから、いまやHPは採用活動にも欠かせないツールです。
――更新作業はどのように?
中山 価格改定や直売所の営業時間のお知らせなどは、自社で編集しています。写真のアップロードも簡単で、ブログを更新するような感覚でHPの情報を更新できるので便利ですね。お中元やお歳暮セットのご案内なども「ヤツレンだより」というページに掲載しています。アイ・モバイルさんにはサポートセンターもあり、操作がわからない時は、気軽に電話で問い合わせできるので安心です。複雑な作業の場合には、操作をお願いすることもありますが、基本的には内製化できています。
――HPの活用ビジョンは?
井出 まずは、必要な情報を滞りなく発信すること。牛乳やヨーグルトなどの発酵乳以外にも、パンやチーズ、レトルトカレーなど商品点数が増えてきているので、こうした商品の魅力も発信していきます。
「生産者と産地を守る」ためにも、八ヶ岳・野辺山高原の乳製品の魅力を、長期的な展望も踏まえながら
しっかりとHPを通じてPRしていきたいですね。